堀江 剛 教授

教授 堀江 剛 Horie Tsuyoshi

専攻:倫理学/臨床哲学

1961年生。ハイデルベルク大学歴史哲学部修士課程修了、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程満期取得退学。博士(文学)(大阪大学、2003年)。広島大学総合科学研究科准教授・教授を経て、2016年4月に大阪大学大学院文学研究科(現人文学研究科)教授に着任、現在に至る。

研究紹介

西洋近代哲学、特にスピノザの研究から出発し、社会哲学・社会システム理論・組織論などに関連する理論的課題について幅広く探求してきました。
現在は、保健・医療組織に関連した倫理問題(臨床倫理・組織倫理)の共同研究、哲学対話(哲学カフェ、ソクラティク・ダイアローグ)の実践を行っています。

哲学対話(ソクラティク・ダイアローグ)
哲学対話(ソクラティク・ダイアローグ)

メッセージ

社会には、様々な「ものの捉え方」が錯綜し合っています。それらは、諸々の言葉や言い回しとして流通している「概念 conception たち」であり、私たちはそれらを使って、ものを見たり、感じたり、考えたり、ときに悩んで苦しんだりしています。また、それらを使って人と話し、相手のことを分かったり、逆に分からないまま自分の見方・考え方を相手に押し付けたり、控えてみたりしていると言えるでしょう。哲学とは、こうした「ものの捉え方=概念たち」に向き合い、その歴史的背景や今日的な使われ方も参考にしながら、自らの「見方・考え方」を組み立てていくことだと、私は考えています。

それは、哲学書や学術文献に出てくるような(難しい?)概念だけではありません。私たちが日頃何気なく使っている言葉たちの中にも、じっくり向き合い、格闘するに値する「概念たち」があるはずです。また、こうしたことを独りでやる必然性も、特にありません。みんなで楽しくやりましょう。それが「哲学する」ことです。私がやっている哲学対話、とりわけ「ソクラティク・ダイアローグ」と言われるものは、まさしくこの「哲学する」作業を丹念にやることです。

書籍紹介

川本隆史編『ケアの社会倫理学:医療・看護・介護・教育をつなぐ』
(2005年、有斐閣)

医療・看護・介護の営みを《ケア》という視角から批判的かつ統一的に把握し、新しい論点を提示する。従来の生命倫理の枠組みを越える「ケアの社会倫理学」を提起する。

担当:第6章「臨床哲学とケア」(中岡成文との共同執筆)

堀江剛『ソクラティク・ダイアローグ:対話の哲学に向けて』
(2017年、大阪大学出版会)

ドイツで開発された哲学対話の方法「ソクラティク・ダイアローグ」を紹介し、対話と哲学に関する考察を展開する。

新ヶ江章友編『学際研究からみた医療・福祉イノベーション経営』
(2022年、日本評論社)

医療・福祉組織のイノベーション経営モデルを、経営学、医学、哲学、倫理学、社会学、文化人類学の観点から考察する。

担当:第4章「哲学対話から見えてくる「組織」」

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