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2021年6月に、アートミーツケア学会叢書第3巻として『受容と回復のアート』(ほんま なほ監修、中川 眞編集、生活書院)が出版されました。(詳細情報はこちら)
この巻におさめらた書き物は、それぞれのしかたで、どうにもならないものとわたりあっています。それぞれがえがく受容も回復も、医療や福祉のことばで語られるものとは、ちがったものとなるでしょう。それはけっして、アートによって癒されるとか、治療の代わりなるとかではありません。ケアをするとは、注意をむけること、応答のしようのないことにも応答しつづけることであり、このシリーズでは、通常の意味での受容と回復とはことなるべつの視点から、アートにふれることがもとより計画されていました。読者のみなさんは、ここに書かれたそれぞれのことばにみちびかれて、なにかに打ち勝つことも、乗り越えることもなく、それでも生きつづけることをえらんできたひとたちの足跡をたどるでしょう。よくなること、うけいれること、もとにもどること、そのいずれでもない。しかし反対に、生きること、生きつづける日々の選択が、それらのことばの意味そのものをかえてしまう。受容と回復の意味をかえること、かえつづけること、それこそが生の問いかけとしてのアートであり、本巻がめざすものです。
(本書「監修者のことば」より)
ひとが、いちばんしんどいときに、生きるための表現とは、どのようなものでしょうか?
そして、そのような表現をささえている、ひととひとのあいだの関係とは、なんでしょうか?
そうした、ひととひとのあいだの関係から、なにがきこえてくるのでしょうか?
このフォーラムでは、ゲスト・スピーカーの声にみちびかれて、本書につづられた思いをひろい読みしながら、表現する、つくる、生きる、ひととひとがつながる、ということの意味や可能性について、ゆっくりとかんがえ、声をつむいでいきます。
受容する、回復する、とはどういうことなのか、ケアするとは、いったい、なにを意味しているのか、について、あらためてかんがえる機会を、今後も継続してもちつづけていきたいとおもいます。